- タイトル
- チキタ★GUGU
- 著者
- TONO
人喰い妖の間に伝わる「不味い人間は百年飼育すると美味になる」という噂。人喰い妖のラー・ラム・デラルは、自分が惨殺した一家の生き残りチキタを百年飼育することにするが。
あらすじ
人間はたいてい美味しいもの。僕らにとっての食事とおなじ感覚がそこにある。だが極稀に、舐めるのも不味い、ましてや涙や血などの体液を摂取しようものならば猛毒にもなる。そんな人間がいる。人を喰うことで空腹を満たす妖たちの間では、不味い人間は百年飼育すると美味になる、と噂されている。
主人公は呪い師か占い師かお祓い師かなんかのグーグー家の血をひくチキタ
。ある日、両親を人喰い妖に喰われ、あわや自身も喰われる時に”不味い人間”ということがわかる。妖かしはやっと見つけた”不味い人間”で百年をしようする。それ以来チキタと彼を喰おうとした妖で日々を暮らしていく。
感想
よかった。TONOさんの漫画はこれが初めてでしたが、読み終わったその足でTONOさんの別の漫画を買っちゃったくらいファンになった。絵柄も、画像を見て分かる通り可愛い。チキタとラーの関係も、いわゆる喰う喰われるという殺伐としたものではなく、一緒に生活をする友という感じ。チキタ少年も作中で、”100年後に食べられるけど、それまで生きてるかもわからないからいいや”みたいに考えちゃってる。
妖怪モノほんわかファンタジー。なのだが、ときどき絵柄には似つかわしくないような重い話題が出てくる。「まさか彼が死ぬなんて、、、」のような展開。だが絵柄のおかげ化重い話も重くなりすぎず、かといって軽く流してハイおしまいということもなくバランスがいい。
1話から既にラーが存在しており、さてはてどのような妖なのか、掴みきれないまま話が進んでいく。チキタ少年も、人を喰うということはわかっていてもどことなく掴みにくい存在としてラーを見ている。物語が展開するに連れて少しずつラーの正体が明かされていくが、チキタ少年が感じているラーへのもやもやを僕達も感じられる。
ねたばれを含む感想
あらすじを書き起こしてて思い出したが、”うしおととら”と似てる。”とら”と”うしお”の関係ではなく、”とら”と”真由子”の関係。とらが餌を探して街に出かけたが、街にいるのは妖怪が苦手な金属(ネックレスとか)を付けたり、香水でキツい臭がする”不味い人間”。いろいろあって真由子を自分のデザートとして大事にするようになる。読んでいる最中は気づかなかったけれど、後から見返してみるとこの関係に近いと思う。